先生の名前 | 西中 紳悟 |
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所在地 | 岡山県津山市山北531 |
連絡先 | 090(8069)4613 |
備考 | 県立津山商業高等学校武道場 水曜日19:00~21:00 お問い合わせはこちら |
HP | https://aikido-tsuyama.jimdofree.com/ |
茶道(ちゃどう)と合気道 (2025/04/18)
抹茶をいただくとき、茶碗を何回まわすのかわからないという話をよく聞きます。利休百首では「茶の湯とはただ湯を沸かし茶を点てて飲むばかりなることと知るべし」と伝わっており、本来は好きなようにお茶を飲めば良いのですが、茶道(裏千家)の作法としては決まりがあります。
茶碗を左手にのせ、右手を添えておしいただいてから、手前に(時計回りに)2回まわす、というのが作法です。この際、「2回まわす」ことだけを覚えると本質を見失います。2回か3回か、右回しか左回しかを迷うのも、解釈ができてないから迷うのです。
お茶席で客にお茶が出される際には、茶碗の正面が客に向けられます。器でもっとも景色の良い部分が正面です。均一の絵柄であったとしても、客に向けられた部分が正面になります。客は正面に口をつけるのをはばかり、その正面を避けるために茶碗を回します。左手の上に乗ってる茶碗を回すのは右手しかありません。右手で向こうに回すとまるで汚い部分を避けているような所作になるため、いただくような方向として手前に(時計回りに)回します。一度だけでは十分に正面を避けられないと思われるので、二度回します。角度は90度回すとか言う人がいますが、角度は関係ありません。正面を避ければ良いのです。むしろ、90度を気にするあまり、所作がぎこちなくなる方が興醒めです。亭主は、客に角度を気にして欲しいとは考えておらず、良い服加減で召し上がって欲しいのです。
理由を知ると所作を迷うことがありません。何も考えずに見た目だけをまねると、覚え方も不確実になりますし、所作に心がこもりません。
実は、合気道にも同じことが言えます。初心者のうちは、まず先生の動きを見て、真似て覚えるところから始めます。しかし、いつまでたってもそこから抜けられないと、たちまち上達の壁にぶつかります。師範の示された技を「見た目」だけまねても、それはモノマネに過ぎません。達人の真似がそれっぽくできるようになって自分も上手くなった気になるなどは、増長の極みです。
技の上達のためには、師範の解釈を理解する必要があります。しかし師範がすでに亡くなっている場合には、質問することもできず、師範から正解を教わることもできない中で、苦しみながら解釈を追い求めることになります。そして答えが出ないまま、だんだん師の年齢に近づいていきます。道を求めることは、歳を重ねるほどに苦しいことなのでしょう。
師の教えを思い返し、考えたり悩んだりを繰り返して、自分なりに咀嚼するプロセスを経ることは、上達には不可欠だと考えます。そうしないと師を超えられません。師への最高の恩返しは、一生をかけて師を超えることなのです。
私は技を教える際には、説明が長くなってもなるべく解釈を伝えるようにしているのですが、説明が下手なことは素直に反省します。子は親の鑑、すなわち、生徒の動きが悪いのは先生に責任があるのです。いつも反省しきりです。
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